長寿医療制度のポイント
長寿医療制度(後期高齢者医療制度)が4月1日に実施されて以降、様々な社会問題が生じています。新聞・テレビのニュースでも多く取り上げられています。
しかし、こららのニュースによってもたらされる情報の多くは、トラブル続出と言った単純に社会に騒ぎが起きたことを伝えているだけ、という印象で、本質的な有益な情報とはあまり言えません。
そこで、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)について、知っておくべきポイントについて、この制度の該当者、または該当する人が家族の中にいるという方々の役に立つ情報をご紹介していきたいと思います。
まず、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)によって、健康保険から県の後期高齢者保険へと移行することになりました。この移行する人の数は、およそ1,300万人。全人口の10%にあたる75歳以上の高齢者に加え、65歳以上の一定の障害を持った人達を足した数ということになります。
そして、これら1,300万人の内、これまでは被扶養者扱いだった為に保険料が必要なく、今後は保険料が必要となった人達はおよそ200万人と言われています。
新たに発生する保険料は一月あたりに平均6,000円程度という計算になりますので、200万×6,000円=120億円が毎月、国にこれまでより多く収められる事になります。非常に多大な額です。
それでも、日本の医療費は年間31兆円、そのうち国が出しているのは8兆円という事を考えると、果たしてこれがどの程度社会のプラスになるのかは、正直わかりません。
住んでいる都道府県によって保険金の額が変わる
また、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)は、住んでいる都道府県によって保険金の額が変わります。これまでは、国などが管理していた健康保険によって、保険料の支払いを行っていたので全国一律でした。
しかし今後は、都道府県が運営する「後期高齢者医療広域連合」に保険料を支払うことになります。都道府県によって母体が違うのです。母体が違えば、形態も違います。つまり、保険料も変わるということです。よって、保険料は一律ではなくなります。
現在までに明らかになっているのは、医療費の高い県ほど、保険料も高いということです。例えば、福岡県や北海道は一人あたりの医療費が高い都道府県として知られています。これらの県では、それぞれ年間平均の保険料が8〜9万円、7〜8万円とされていて、平均よりも高めになっています。
また、高所得者の多い東京都、愛知県、大阪府、神奈川県などは、平均保険料がかなり高くなっているようです。一方、東北地方は総じて安くなっている傾向が見られます。
これが何を意味するのかというと、地方によっての格差が大きすぎるということです。例えば、青森県や岩手県と東京都や神奈川県では倍近い差があります。同じ日本に住んでいて、保険料が倍も違うのはいかがなものでしょうか? 今後不満が出てくることは想像に難くありません。
考えられることは、恐らく高いほうに保険額の水準を合わせて来ることが考えられます。今後の動きが注目されます。
医療費はどう変わる?
長寿医療制度(後期高齢者医療制度)によって、高齢者の支払う保険料には変化が訪れました。では、医療費はどう変わるのでしょうか。
2008年4月現在、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)による医療費の変動はありません。以前同様、通常は1割負担、一定以上の所得がある現役並みの所得者は3割負担となっています。これに関しては今のところ変わっていません。
しかし、75歳以上から別の視点に移すと、話は変わってきます。現在70〜75歳の前期高齢者と呼ばれる人々に関しては、2009年の4月以降、窓口負担が2割になります。つまり、2倍となります。この際も、おそらく相当な騒動になることが予想されます。できる限り負担を減らすよう、該当する人とその家族は今のうちにある程度予算を確保しておく必要があるでしょう。
なお、入院時における食費や居住費に関しては、これまでと変わりはありません。負担するのも、療養病床の場合は一食ごとに、居住日は一日ごとに支払い、療養病床以外に関しては一食ごとに標準負担額を支払うというスタンスのままです。
また、高額医療費の支給に関しても、これまでと同じです。高額医療費制度とは、一ヶ月間の窓口負担額が限度額を超えた場合に、請求によって限度額を超えた分を返金してもらえるというシステムです。したがって、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)に変わったからといって、高額医療費制度を適用できなくなるということはありません。
高額医療・高額介護合算制度とは
長寿医療制度(後期高齢者医療制度)では「高額医療・高額介護合算制度」が設けられました。
これは、同一世帯における被保険者が「介護保険サービスの利用者負担」と「後期高齢者医療制度における患者負担」の双方の自己負担を抱えている場合、これらの合算額が定められている年間の上限額を超えていたら、その負担について軽減するという制度です。なおこの制度は、申請が必要なので、該当する場合は確実に申請しておきましょう。
この制度における上限額は「介護保険サービスの利用者負担」と「後期高齢者医療制度における患者負担」の合計額が一般は56万円、現役並み所得者が67万円となってます。また、市町村民税非課税者においては、19〜31万円となっています。
例えば、78歳の一般に該当する人が「介護保険サービスの利用者負担」で40万、「後期高齢者医療制度における患者負担」で30万、年間にかかったとします。この場合「高額医療・高額介護合算制度」を申請することで40万+30万-56万=14万円が手元に戻ってくるのです。
長寿医療制度(後期高齢者医療制度)における、プラスの面の中のひとつです。
年金天引き問題のポイント
長寿医療制度(後期高齢者医療制度)が施行された事で特に大きく変わった点の一つに、保険金滞納者に対する対応が挙げられます。
これまでと違い、この長寿医療制度(後期高齢者医療制度)においては、多数の高齢者が年金からの天引きによって保険料を納めることになるので、意図的な滞納は少ないと見られています。
しかし、中には保険料を現金で納める人もいます。およそ250万人、全体の約2割の方が該当すると言われています。こうした方々が保険料を納めなかった場合、どうなるのでしょうか?
答えは、国民健康保険と同じような使いになります。これまでは、75歳以上の老人医療需受給対象者に関しては、被扶養者であれば保険金は免除されていましたし、そうでない人が保険金を納めなくても、保険証が取り上げられるといったことにはなりませんでした。しかし、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)においては、保険証が取り上げられ、代わりに資格証明書が発行されるようになりました。
そうなると、一時的とは言え、病院等での支払いは全額負担となってしまいます。申請すれば後期高齢者医療広域連合から一部負担金以外の額は支給されるのですが、もし手元にまとまったお金がない場合は非常に困ったことになります。低所得者にとっては、かなり厳しい制度になったということです。
